幻の昔話

この昔話は、おばあちゃんっ子だった私が夜毎祖母にねだって語ってもらったものですが、今まで誰からも聞いたことがありません。

祖母は、抑揚を付け、実にリズムカルに語ってくれました。
ピッタリと布団をくっつけ「もう一回!もう一回!」
と、せがんだ幼い日がよみがえり、懐かしいです。
 
昔々あるところに良いお爺さんと悪いお爺さんが住んでいました。
ある時、良いお爺さんは、山に芝刈りに行きました。
良いお爺さんが、山で芝を刈っていると大きな声がしました。
「誰だ!わしの木を切るやつは!」
「はい!わしは日本一のへいふりじっこでございます!」
と、良いお爺さんは答えました。
「それでは、一つふってみれや!」
「それでは、ひとつ!」
良いお爺さんは、着物のすそをそっと持ち上げると
「ピリン、カリン、トッチラ、プッ!」
と、へをふりました。
「オオー!、いいへだこと、もう一つふってみれや!」」
「それでは、もう一つ」
良いお爺さんは、もう一度、着物のすそを持ち上げて
「ピリン、カリン、トッチラ、プッ!」
と、へをふりました。
山の神様は、喜んで。
「ほうびに、土産をやろう。大きいかごと小さなかごがあるが、どっちがいいか?」
と聞きました。
良いお爺さんは、
「小さなほうをください!」
と言いました。
そうして、良いお爺さんは山の神様から小さいかごをもらって帰り、家で開けてみました。
すると金、銀、財宝がいっぱい入っていて、お婆さんと二人で大喜びしたんだと。
 
火種をもらいに来た隣りの悪いお爺さんが、その話を聞いて帰りました。
そしてさっそく、良いお爺さんのまねをしたんだと。
悪いお爺さんが山で芝を刈っていると大きな声がしました。
「誰だ!わしの木を切るやつは!」
悪いお爺さんは答えました。
「はい、わしは日本一のへいふりじっこでございます!」
「それなら、一つふってみれや!」
「それでは、一つ」
「ピリン、カリン、トッチラぶ!」
悪いお爺さんが、へをふると山の神様が言いました。
「もう一回、ふってみれや!」
「それでは、もう一度」
「ピリン、カリン、トッチラぶ!」
「それでは、土産をやろう。大きいかごと小さいかごのどっちがいいか?」
と山の神様が聞きました。
悪いお爺さんは、嬉しそうに
「大きい方のかごを、ください!」
そう言って大きなかごをもらて、帰ってきました。
すると、かついで帰る途中で、カラスが沢山大声で鳴きながらついてきました。
そして
「じじの背中に、長い虫下がってる。ガオラカッカ!ガオラカッカ!」
と、はやしたてました。
悪いお爺さんは、振り返って言いました。
「うるさい!なにをほざくか、宝物がいっぱい入っているんだぞ!
そう怒ってカラスに言いました。
それでも、カラスはまた同じことを言いました。
「じじの背中に、長い虫下がっている。ガオラカッカ!ガオラカッカ!」
悪いお爺さんが家に帰って悪いお婆さんと一緒にかごを開けてみる
かごの中には沢山の蛇が、ウジャウジャ、入っていました。
怒った悪いお爺さんと悪いお婆さんは、かごをかついで良いお爺さんの家の
屋根に上り、天窓から蛇を投げ入れたんだと。
そうしたら、その蛇が大判小判にかわってバラバラと落ちていったんだと。
良いお爺さんと良いお婆さんは、ビックリして大喜びしたんだと。
 
この昔話は、きっと東北のどこかのだと思いますが、祖母のはっきりしたルーツを私は、知りません。
 
今日は、秋晴れですが、風が強いようです。
午後から、3時間ほど外仕事をしました。