恥じてはいません

建物も築50年ともなりますと痛みが凄いです。

我が家の敷地に入りますと左手に大きなⅮ型倉庫がありますが、赤茶けて30年程前に屋根の一部が突風にえぐられ破損し、二箇所のシャッターもサビ付いています。
その近くの厩舎も朽ちかけ、母屋は何とか住み続けられるように少しづつ手を入れていますので、まあまあでしょう。
私はそれらの中に、朽ちていく美を感じています。
大地の中に埋没して行く。
全てのものには始まりと終わりがあるのですから。
 
こんな家ですから、
「壁の修理しませんか?」と時々業者さんがやってきます。
「直したいのは山々ですが、貧乏なので出来ません」と、私。
「子供さん、お金を出してくれませんか?」
「子供はいません。頼んだ所でお金が払えなければ皆さんに御迷惑を掛けてしまいますからね。ですから頼めません」
「すいません。奥さんにそんな事まで言わせて!」
「大丈夫ですよ。私は少しも恥ずかしいとは思っていません。
 私は一生懸命生きて来ました。その結果こうなっただけですから。
 それに何時まで生きれるか分かりませんしね」
「いえいえ、まだまだお元気ですよ!」
そんなリップサービスをされ、業者さんは戻っていかれました。
 
私は日々正直でありたい!
精一杯で生きて行きたい!
そう思っていますので答えは真っすぐです。
今の私にとって一番楽な生き方なのです。
 
「これからは自分の持っている力を全部使って生きて行きなさい!
亡きパートナーの言い残した言葉です。
 
近頃思うのです。
私の持っている力とは、今の現状を飾らずに素直にさらけ出す事なのではないか?と。
これは目に見えないものを形にする大仕事ですよ。