フキノトウのお味噌汁は春の味!

春が近づく度に、帰宅するタクシーの中から道路脇に目が行く。

国道を外れ我が家へ。
坂を上って進む山間の道は自然が一杯です!
 
(もう、出ているかしら?)
私は知らず知らずのうちにフキノトウを探しているのです。
 
幼い日から春一番に手に取って嗅ぐフキノトウの香りは、冬を乗り切った賛歌そのものに思えて私の心は喜びに震えるのです
味も又同様に素晴らしい!
 
でも開拓農家で育った当時、食べる習慣はありませんでした。
母は、「食べれるって聞いたけど苦いよね」
そう言って一度も膳に載せた事はありません。
 
ただままごと遊びに、大きくなったフキノトウを採って来て葉をむしり、その茎にフキノトウの花をギュッと詰め込んでカット。
綺麗に並べて巻きずしに見立てる。
良い匂い!
遊びの中でも強烈に漂うフキノトウの香りが何とも言えず好きでした。
指はあくがついてまっ黒!
そんな事はどうでも良かった。
洗っても簡単には取れなかったが香りがたまらなく好きでした。
たから良く遊んでいましたね。
 
その私が、母や姉達でさえ挑戦した事のないフキノトウの味噌汁に手を染めました!
 
そのきっかけは40年程前。
ウトナイ湖畔在住の御高齢の奥さんから、うどのお味噌汁をご馳走になったのが発端です。
 
それまで、我が家の周りには数え切れないほどフキノトウが芽吹いていましたが、
苦いに決まっている!
そう思って本や雑誌、テレビで紹介されてるのを見ても、料理をしようなんて一度も考えた事はありませんでした。
 
山菜の食わず嫌い!
その時奥さんも心得ておられたのでしょうね。
「うどの味噌汁、話を聞いても食べる気にならないと思って、作ったから食べてみて!物凄く美味しいんだから!」
 
勧められてビックリ!
余りの美味しさにパートナーと顔を見合わせました。
うどの香りが味噌とあいまって苦さも気にならず本当に美味しかった!
 
「美味しいでしょ!私もつい先日近所の奥さんに教わったのよ。山菜採りに行ってウド見つけたんだけど細いのしかなくてね、採るのやめようと思ったの。
そしたら細くて酢味噌和えに出来ないのは、皮をむかずに葉っぱも全部使って味噌汁にすると良いって。
根っこの所だけ皮をむいてね。最後に卵を溶いてふわーとかけると苦みが気にならなくなるよって。」
 
奥さんは私達の美味しそうに食する様子に満足しながら
「その時はね、話だけ聞いておこうと思ってたら、帰りに作って食べさせてくれたんだわ。それで分かったのよ!美味しいって!」
(山菜の食わず嫌い)私も同様にうどの酢味噌和えしか知りませんでした。
山菜に対する心境はどなたも同じ様です。
 
食べ方を教わって以来、私は山菜料理の好きなパートナーの為にうどの味噌汁、うどの皮のきんぴら、サラダも作る様になりました。
 
その数年後、私は(フキノトウも同じ様に味噌汁にしたら良いのでは)と思い立ったのです。
 
的中でした!
これも又うどにも勝る美味しさです!
何度も作っているうちに、今度は味も見た目も良い作り方がひらめきました。
 
まずフキノトウは小さめの出来れば日陰に生えているのを使う。(その方が苦みが少ない様に思われます。少々大きくても大丈夫です)
1,ボールに水をはり、その中にフキノトウの葉っぱだけを入れます。
 (我が家の周りには、フキノトウが群生していますので贅沢に使えます)
2,卵を一個溶いておきます。
3,鍋に適量のだしを入れた味噌汁を煮立てます。
4,その煮立った汁の中にフキノトウの葉をパッと放し、溶いておいた卵をふ  
  わーとかけて火を止めます。
  (汁を煮立てた状態でなければフキノトウは茶色に変色して、見た目が悪 
   いです。煮すぎると味は落ちます。)
これで料亭の味にも勝る出来だと思います!
とにかく美味しいですよ!
 
この料理法を姉の一人に伝えたらアッというまに広まりました。
フキノトウのお味噌汁は春の味。
今では兄弟姉妹、皆春を待ちわびています!