みんな笑っていた!

子供の頃、どういう訳か私を(貰いたい!)という人が幾人もいた。
それは、私にとって恐怖以外の何物でもなかった!
押入れに隠れたり、祖母の後ろに隠れたり。喉はカラカラ。
涙ぐんで胸がギリギリと痛んだ!
「イヤダー!イヤダー!」
祖母にしがみつき、私は大声で泣き叫んだ。
 
貧乏人の子だくさん、一人でもいない方がよかったのだろう。
すでに4人の姉と兄がいた。
あの時、私から「貰われて行く」と言う答えが欲しかったのだろうか?
今なら分かります。
その答えは、本人に任されていたのだと!
 
手土産に、当時は滅多にもらえなかったお菓子があった。
そしてまことしやかなストーリーが語られる。
「もう、帰っておいで!
 赤ん坊の時、家にいるお前の母さんが病気になって
 ここの家に預かってもらったんだよ。
 だけどもうすっかり良くなったから迎えに来たんだよ。
 さー、帰ろう!」
 
一番の貰いたいコールを発していたのは、父の姉の家だった。
長男夫婦には子供がいなかったのだ。
日頃から良く立ちよる伯父が嘘を付いている。
子供の私には、それを見破るほどの知恵はなかった。
 
祖父母も父母も4人の姉も兄も、遠まきに私を観察していた。
「本当に、私はここの家の子供じゃないの!?」
泣きながら必死に尋ねる私を前に、
みんな笑っていた!
腹を抱えて笑っていた!
私を可愛がってくれた祖母さえも答えをくれず、
その答えは年月をかけて自分自身で見つけるしかなかったのだ。
(からかいが過ぎます!)
と、今でも思っている。
 
今日は、秋晴れ。
珍しく赤トンボが飛んでいました。