私の生きる原動力は、好奇心以外の何ものでもないようだ!
物心ついた時から何かにつけて、やってみたい子だった。
このことに早くから気づいていたのは、母であったろう。
あれは、小学校入学前のことでした。
農業者の両親が田んぼのあぜ道で草刈りをしている姿をみつけたのです!
かがんだ右手に鎌を持ち、 草の根元に当てると体全体で調子を取りながら左右に動かしている 。
リズミカルにサッサッサッと。
すると音に合わせて、 草がまるで誰かに命令でもされた様に根元から倒れていくのです。
扇型に!
なんて綺麗なんだー!
そして二人のその姿が実に楽しそうに見えた!
やってみたかった!
だから、両親が草刈りをやめるのをひたすら待っていた。
終わったー!
昼食の時間だ。
私は、急いで昼食を済ませ物置小屋にむかった。
サー、始めよう!
でも、両親の使っていた鎌は、 子供の私には手の届かない高い場所にかけてあった。
取ろうとして飛び跳ねても飛び跳ねても、届かない!
(今なら分かります。わざとそうしていたのだと!)
下の方には、先の折れた鎌が無造作にかけてあった。
これでもいいや、やってみよう!
幼い私は、鎌を持ち出し家の近くのあぜ道に向かった。
親のまねをして鎌を振り回してみたが、子供には鎌は重かった!
とっても!
その上いくら振り回しても草は倒れるだけで、少しも切れてはくれなかった!
それでも、諦めずにしばらくは鎌の角度をかえ挑戦してみた。
力一杯叩き付けてもみた!
両親の見事なまでの手さばきを夢見て!
サッサッサーとね!
「鎌は、草は切れなくても手は切れるからね!」
後ろから、母の声がした。
いつの間に来ていたのだろう?
(そんなはずはないよ!?こんなに力いっぱい草を叩きつけても
草は切れないのだから!)
(手が切れる訳ないでしょう!?)
信じられなかった!
「やめなさい!」
とも、言われなかった。
今度こそ!
今度こそは草を切ってみせる!
幾度も幾度も鎌を振り回していた。
遂に、左手の人差し指の第二関節に鎌が当たった!
痛い!
切れたんだ!指が!
本当だったんだー‼
血が噴き出した。
「ほら見たことか!」
母の尖った声が、耳元で弾けた。
私は今まで、 様々な事に対してこうして向き合って生きて来たのだ。
あの時の母の声が、今も私の耳に残っている。
にも関わらず!
不思議と私は、年齢に関係なく、 確かめてみたいことが次から次へと湧き上がってくるのだ。
だから、忙しい!
だから人生は楽しい!