人間として誇り高く生きていきなさい

(人間として誇り高く生きていきなさい)
母の残したこの言葉は、兄弟、姉妹の中で、どうやら私だけが
言われていたようです。
 
同じ親から生まれたとはいえ
それぞれの個性をみていたのでしょうか?
 
他の兄弟姉妹は、親に口答えすることのない人達でしたが
私は納得できなければ「どうして?」
と質問する。
寡黙な父はたまりかねてそっと離れて行きました。
そんな時は、母が答えを出してくれました。
𠮟られた事はありません。
「m子、お前が正しい」
ほとんど、そう言って答えてくれました。
 
人間としての誇りとは何なのだろうか?
これもまた、答えを見つけるのは大変です。
学生時代は、考えた事もなかったのですが
高校卒業後、就職先の外回りの仕事(本部は札幌)をしていた私は
岩内町の店で、偶然に恩師にお会いしました。
(私の一生の中で、恩師と仰ぎ見る唯一の先生です)
先生は離婚され、2人の娘さんを育てたお母さんでした。
 
一泊泊まりの仕事で、すでに旅館は予約済みでしたが
先生のご厚意で先生のお宅にお世話になりました。
先生には小1の後半から小学校卒業まで、何かとお世話になりました。
 
僻地校での先生は、校長先生と後は男の先生2人の4人で
複式学級での教育です。
運動会、学芸会ともなれば恩師の活躍無くして何事も進むことは
難しかったと思われます。
全てに置いて、計画、実行まで、父母会を巻き込んでの先生の手腕には
目を見張るものがありました。
 
その先生から言われたのです。
「あなたのお母さん程、立派な人を見たことないよ。
 余計な事は言わない、立派な人だよ」
 
初めて聞く母の評価でした。
私は、その時から母を一人の人間として無意識に検証していました。
 
確かによそのお母さんとはちがうみたいです。
私に残した言葉を発するような母親は、そんなにはいないみたいです。
 
今思えば、母の事はほとんど知らずにいた事に後悔しています。
人は皆、こんな感じで一生を終えていくのでしょうね。
 
こんな事を、考える時間がある幸せを感謝いたします。