そんな事は約束出来ないよ

パートナーが86歳で此の世を去る一週間前でした。
貧乏をやってみたかった人の最後は、金銭的に見ると借金せずに何とか暮らせている。そんな状態でした。
闘病生活2年半で、やっと現実が分かった人でした。

「僕の人生の中で一番お世話になった人なのに、こんな事にさせてしまって本当に申し訳ない。

 お金には物凄く苦労かけたから、僕が死んだら直ぐに年金の多い人と再婚しなさい!
 僕はM子ちゃんを大事にしてきたから、いくらでもお嫁さんに行けるよ」

何というコメント。
まあ、あの人らしいと言えばそのとおりです。

「そう思っているなら、貴方が亡くなったら三年間宝くじを買いますから当ててください!
思わずそんな言葉が飛び出していました。
「そんな事は約束出来ないよ」
彼は少々呆れた顔をして弱々しく答えていました。
「分かってる。でも行って見なければどんな所か分からないでしょ。
 もし出来るなら貴方の全身全霊を使ってやってみて!」
「分かったよ」

これがパートナーにお願いした事です。
亡くなってから後の事は誰にも分かりません。ましてや亡くなっ人は誰も戻って来ませんもの。
 
私は、亡くなってから三年間、時々ですが宝くじを買い続けました。
でも当たりませんでした!
彼はとてもエネルギーの強い人でしたし、私の事を誰よりも心配してくれる人だと信じていましたが、それとこれとは次元が違うのかも知れません。
この世の物はあの世に持って行けないように。
 
それにしても高額な宝くじが当たっている人は、どうして当たったのでしょうね?
この事は単なる偶然なのでしょうか?
これもまた未知の世界で謎です。
 
亡くなって初めて迎えた冬、夢の中で仕事を終えて帰宅する私を
「あんまり寒いから待ってたんだよ!」
そう言って出迎えてくれた明るく優しいパートナーに会えました。