かれこれ20年前になります。
牧場が倒産して以来、 もう外には猫を置かない様にしようと思っていたのですが、 パートナーの優しさが又もや野良ちゃんを呼び寄せました。
パート先から戻ると
「お腹を空かせて余りにも可哀そうだから餌やったんだ。
それが今まで見た事のない綺麗な猫なんだよ!
ガラガラに瘦せてたんだ。
オス猫だから増えないから大丈夫だよ! 」
オス猫だから増えないから大丈夫だよ!
そう言っていたので安心していたのですが、 なんと秋には6匹の子猫を連れて来たではありませんか!
母さんニャンコだったのです!
こうなっては仕方がありません。
あれからパートナーは毎日餌をやっていたのですからネ。
所が12月の末になると大きくなって来たとは言え、 人間に例えれば少年少女ぐらい成長した子供達を置き去りにして、親 猫は姿を消しました。
外にはキツネがいて危険が一杯です。 でも家には入れて上げれません。
厳しいとはいえ厩舎も倉庫もあり、 私達は毎日餌は欠かしませんのでお許しください。
子猫達は私達を怖がりもせず触らせると言う事は、 近隣の家猫なのでは?と思ってみましたが牧場の厩舎や、 倉庫で育ったとしたら確かめようもありまん。
それに猫達には国境はありませんからネ。
子猫達は、オス猫3匹、メス猫3匹でした。
どうせなら楽しい方が良い。
メス猫にはさくら、もも、すみれと命名。
すると「まるで宝塚みたいだね!」って友に笑われました!
翌年さくらが出産しました。
離れの前の花畑に二匹です。
さくらだけは、 兄弟姉妹猫の中で野性の強さを持った荒い性格でした。
子供を守ろうと飛び掛かって来ますので怖い!
ゆえに一度も触らずソッと見守るだけにしていました。
が、生まれて三週間ぐらい経った頃、 さくらの留守中、来客の方が子猫を抱き上げてしまったのです。
それからです!さくらは子猫を捨て二度と戻って来ませんでした。
翌日パート先から戻ると離れのベランダの前で、 子猫の一匹が大きな声を上げ走り回っています。 もう一匹が居ないと探している様でした。気になって探しました!
所々花は咲いていましたが、 パートに出て以来手が回らず雑草まみれの庭に鳴いている子猫を発 見。
驚きました!
身体中が濡れ、ギンバエが群がり、 全身に卵を産み付けていたのです!
死骸にハエが群がるのは分かりますが、まだ生きているのに!
目元と口元は、 そうでもなかったのですが、子猫の柔らかな毛に隙間なく産み付けて いるのです!
それはまるで鎧をまとっている様に重く、子猫を覆っていました。
今思い出すだけで身震いします。何と悍ましい姿でしょう。
このままでは生きたままウジ虫に食い殺されてしまいます!
とてもほったらかしには出来ません。
連れ帰り、ぬるま湯に浸しながら取り除きました!
時間をかけ梳き櫛で搔きとったのです。
でもまだ(さくらが帰って来る!)と思っていましたので、 元の場所に戻しておきました。
翌日パート先から戻ると、 二匹の子猫は花畑の茂みからベランダの前に出て鳴いていました。
子猫の澄んだ眼差し、必死に親を探し、お腹か空いたと鳴き叫ぶ声。
私の耳に心に突き刺さりました!
とても自然に任せ見殺しにはできません。
家の中に!
子猫の面倒を見るのは大変です。 ミルクを上げるのは良いのですが、どこにオシッコやウンチをするか 分かりません。 ひとまずは高さ80センチはあろう大きなダンボール箱を見つけ半 分はセーターを敷き後の半分は新聞紙を細かく裂いてトイレ用にし て面倒をみました。
3日程私が面倒を見ていたら奇跡がおきました!
見るに見かねた様に家猫トマス(5歳) が自らダンボールに飛び込んで面倒をみてくれたのです。
不思議な事が起こりました。
子供を産んでいないトマスにオッパイが出る様になったのです!
その後、まるでトマスの産んだ子供の様になりました。
あれから18年、 6年前にパートナーが亡くなり、5年前には武蔵が亡くなりました。
家猫はまどちゃんと武蔵を入れてから、 多い時には12匹になった事もありましたが、当時の猫達は何時しか 黄泉の国へ。
今、その頃からの家猫はまどちゃんだけになりました。
現在癌を患い、 昨年亡くなった福ちゃんと入れ替わる様に介護が必要になりました 。
便が漏れ出し少しずつ瘦せてきています。
それでもストーブの前のバスタオルの上で横たわって眠っています 。
福ちゃんの忘れ形見の三匹の子供達も時々甘えています。
人生の一ページ。
こんな日常こそ、平穏な日々と言えるのかも知れませんね。